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上場審査における親会社等
2020年09月07日 [IPO]
申請会社が「親会社等」を有している場合(いわゆる「子会社上場」に該当する場合)、親会社等と申請会社の少数株主との間には潜在的な利益相反の関係があると考えられます。このため「子会社上場」の上場審査に当たっては、申請会社の少数株主の権利や利益が損なわれないことが求められる等の理由から、親会社等からの独立性確保の状況について、通常の審査項目に加えて別に定める所定の基準に適合しているかどうかを確認するとされています。
ここで「親会社等」とは「親会社」、財務諸表等規則第8条第 17 項第4号に規定するその他の関係会社(財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等)又はその親会社をいいます。ただし、上場前の公募又は売出し等により上場後最初に終了する事業年度の末日までに「親会社等」を有しないこととなる見込みのある場合は除くとされています。
資本政策の過程でオーナーが設立した上場申請会社の株式を20%以上保有している財産保全会社が、親会社等(親会社及びその他の関係会社)に該当すれば子会社上場として独立性など厳格な審査が適用されることになります。
(監査・保証実務委員会実務指針第88号)「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の留意点についてのQ&A」では、個人的な財産管理会社であり、財産保全会社が上場申請会社を支配している実態はないと監査上判断できる場合には、オーナーによって実質的に支配されているものと考え、例外的に、財産保全会社は親会社に該当しないものと判断することが認められるとしています。実務指針第88号の事例では、一人株主(オーナー)を想定していますが、実質的に株式(財産)保全会社であれば、複数名で所有していても当該Q&Aを類推して実質的に個人が保有しているのと変わらないことから、親会社ではないと実務的に判断しています。上場審査では親会社と判定されると独立性等の特別の審査を受けるため、この規定が重要となります。

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