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2019年12月27日 [IPO]

多額なのれんと借入金のファンド案件と上場審査

M&Aの1形態としてLBOやMBOがある。少ない資金で企業買収する時に活用される手法で、特別目的会社を設立し、当該特別目的会社が買収対象の上場会社を公開買い付け(TOB)で、非上場化するため融資団から多額の資金を調達するなどの形で行われる。
買収後、特別目的会社が親会社となり、買収対象の上場会社が非上場の100%子会社としてその傘下に入る。特別目的会社の単体決算書上は買収した子会社株式が資産計上され買収資金である借入金が負債に計上される。特別目的会社の連結決算書では、子会社株式取得に係る超過収益力である多額ののれんが資産計上され、買収した時の借入金が負債に計上される。
その後、特別目的会社(親会社)と子会社(買収対象会社)は、親会社を存続会社として子会社を吸収合併する。当該合併は、企業結合会計では共通支配下の取引となり、適正な帳簿価額で子会社株式を引き継ぐこととなるが、その際、連結上で買収時に資産負債を修正(時価評価)している場合は修正後の帳簿価額(のれんを含む)で引き継ぐことになる。
その結果、吸収合併後の新会社には、多額なのれんが資産計上され、多額な借入金が負債に計上されることになる。
この手の手法は、業績が悪化した上場会社が積極的で迅速な意思決定を行うため活用されることが多い。その後、業績の回復をもって、多額の借入金の返済資金の確保や投資会社の出口戦略の中で再上場する会社がある。
東京証券取引所は、多額なのれんや借入金が計上されている会社の上場に関して新規上場ガイドブックで審査の方針を開示してきたが、2019年10月のガイドブックの改正でさらに審査方針を明文化した。多額な借入金に係る担保制限条項や財務制限条項の有無及びその条項への抵触可能性等が審査される。例えば財務制限条項に純資産の維持に係る制限事項がある場合、多額なのれんが減損対象になれば、当該条項に抵触する可能性が生じる。したがって、多額なのれんや借入金のある会社については、のれんの超過収益力の有無や減損テストの状況など総合的な判断になる。


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