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2022年04月14日 [IPO]

監査法人の意見不表明

財務諸表監査における監査法人の監査意見において、意見不表明の事例が多くなってきています。
「不適正意見(否定的結論)」又は「意見の表明をしない(結論の表明をしない)」旨が記載された場合、直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると証券取引所が認めるときは、上場廃止となるほか、内部管理体制等について改善の必要性が高いと証券取引所が認めるときは、特設注意市場銘柄への指定や改善報告書の提出要求の対象となります。
したがって、監査法人の意見不表明は、クライアントを上場廃止にするリスクがあり、投資家への影響等を考えると慎重にならざるを得ません。ただし、最近の傾向では、意見不表明の事例は増えています。傾向としては、企業の継続性の重要な疑義に係るものや重要な係争及び訴訟案件、不正会計に伴う内部統制の不備及び重要な監査手続の不備なども多くあります。
昨今、過年度の会計不正が疑われるような状況の発生に際し、本来であれば当該事実関係の調査が完了し、訂正すべき内容が確定した時点で過年度の有価証券報告書等の訂正報告書が提出されるべきところ、当該事実関係の調査完了前に、過年度の有価証券報告書等に係る訂正報告書が提出され、監査意見を不表明とする事例が生じています。そのような状況を踏まえ、監査業務に従事する会員に、監査意見不表明及び有価証券報告書等に係る訂正報告書の提出時期に関して留意すべき事項として、監査意見不表明及び有価証券報告書等に係る訂正報告書の提出時期に関する留意事項が日本公認会計士協会から2022年3月1日に公表されています。
不正会計等の事実関係調査のための体制構築等の対応を行った場合に一般的なケースでは、進行年度の有価証券報告書等の提出期限までに全ての調査が完了し、訂正すべき内容が確定しているため、当該提出期限までに有価証券報告書との訂正報告書を提出したうえで、進行年度の有価証券報告書等を提出するのがあるべきスケジュールとなります。一方、延長後の有価証券報告書等の提出期限までに事実関係の調査が完了しない場合、当該提出期限の時点では訂正すべき内容が確定しない状況であると考えられるため、事実関係の調査が完了し、訂正すべき内容が確定した時点で、企業は、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出することになります。延長後の有価証券報告書等の提出期限までに調査が完了しなければ、進行年度の有価証券報告書等は意見不表明とし、調査完了後に過年度の有価証券報告書の訂正報告書及び進行期の有価証券報告書の訂正報告書を合わせて意見不表明外の意見として提出することが考えられるとしています。
監査人は、監査意見を表明することで公共の利益に資することが求められています。意見の不表明は、本来、例外的なもので、あることから、会計不正が疑われる事例に対して監査人としての対応についてが改めて留意事項として記載されています。


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