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2020年04月20日 [会計・税務]

「会計上の見積りの開示に関する会計基準」

 企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」が企業会計基準委員会から2020年3月31日に公表された。
 本会計基準は、当年度の財務諸表に計上した会計上の見積りによる金額のうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目について財務諸表利用者の理解に有用な情報を開示することを目的としている。
 財務諸表作成の過程では、会計上の見積りは様々な要素から企業により採用する仮定が異なり、その結果、翌年度の財務諸表に与える影響金額及び発生可能性が異なる。
 このため、当年度に計上した金額に翌期年度における財務諸表に影響を及ぼす可能性があるかどうかを理解するため、以下の開示(注記)が求められる。
(項目名(会計上の見積りの内容を表す項目名を開示))
 会計上の見積りのうち、影響の金額的およびその発生可能性を総合的に勘案して判断。
 翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクであれば、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債を識別することもある。
(注記事項)
(1) 当年度の財務諸表に計上した金額
(2) 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
(例示)開示目的に照らして例えば以下のようなものを注記する。
@ 当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法
A 当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定
B 翌年度の財務諸表に与える影響
 本会計基準は、2021年3月31日以降終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表および財務諸表から適用する。ただし、公表日(2020年3月31日)以降終了する連結会計年度及び事業年度から適用することができる。したがって、2020年3月31日に終了する会計年度から早期適用が可能となる。
 「会計上の見積を行う上での新型コロナウィルス感染症の影響の考え方」が企業会計基準委員会から議事概要として公表され、新型コロナウィルス感染症の影響が経済、企業活動に広範に影響し、その不確実性から会計上の見積り行うことが困難な状況にあるが、その中で企業としての一定の仮定を置いた合理性を確保することを求めている。一方、同一環境下であっても企業ごとに一定の仮定を置くことで見積の結果が異なることも考えられるとしている。また、財務諸表利用者にとっての見積もりの重要性に鑑みて、その内容を追加情報として開示することも必要としている。
 新型コロナウィルス感染症は企業活動に影響を与え、会計上の見積りに不確実性が高まっている。このため、「追加情報」として開示するほか、会計上の見積りの開示に関する会計基準に従って、会計上の見積もりに使用される情報、主要な仮定及び翌年度の財務諸表に与える影響を開示することは財務諸表利用者の意思決定に資することにつながるため、状況に応じて、本会計基準を早期適用する企業もあると考えられる。


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