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2021年02月02日 [会計・税務]

株式の無償支給における会計処理と開示

2019年12月に成立した「会社法の一部を改正する法律」(2021年3月1日施行)により「会社法」第202条の2において、上場会社が取締役等の報酬として株式を発行する場合は、金銭の払込等を要しないことが新たに定められました。従前は会社法第199条第1項により、新株の発行等においては払込金額またはその算定方法等を定めなければならず、無償交付することはできませんでした。
会社法改正により、取締役等の報酬等として金銭の払込等を要しないで株式の発行等をする場合における会計処理及び開示を明らかにするため、企業会計基準委員会が「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」(実対応報告第41号)を2021年1月28日に公表した。
取締役の報酬等として株式を無償交付する取引については、いわゆる事前交付型と事後交付型があるが、自社の株式を報酬として用いる点で、自社株式を報酬として用いるストック・オプションと類似性があるとして、ストック・オプション会計に準じた会計処理としている。
事前交付型では、割当日において譲渡制限があるものの株主の権利を有することなるが、資本を増加させる財産等の増加が生じないため払込資本を増加させず、取締役等からサービスの提供を受けることをもって、分割での払込がなされていると考え、払込資本を期間の経過につれ費用とともに認識する。
事後交付型については、対象期間経過後に株式を交付するため、対象期間中に計上された費用に対応する金額は、将来的に株式を交付する性質のもの(株式引受権)として累積させ、権利確定以後の割当日において払込資本に振り替える。
事前交付型においては譲渡制限が解除されるための条件として、事後交付型においては株式の発行等が行われるための条件として、権利確定条件に「勤務条件」や「業績条件」を定められる。
株式の公正な評価額に基づき、各期に計上する費用が計算されるが、「公正な評価額」は、市場価格に基づいて、契約条件等を反映するように必要に応じて調整を加えた合理的に算定された金額となる。
年度の財務諸表では、取引の内容、規模及びその変動状況について所定の項目の開示が求められる。
なお、取締役の報酬等として株式を無償交付る取引は、株式を交付することから資本取引としての性格も有するが、関連当事者会計基準において「役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い」は開示対象外としており、報酬としての側面を重視して「関連当事者との取引」としての開示は要しないとしている。


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