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2021年10月08日 [会計・税務]

収益認識基準の会計方針の変更事例3

収益認識会計基準が2021年4月1日開始事業年度から適用され、3月決算の上場会社は今年の第1四半期(2021年6月)から適用が開始されました。3月決算の第1四半期報告書から会計方針の変更事例を見てみると業種ごとに特徴的な変更が見受けられます。
履行義務の識別
収益認識会計基準では、契約に含まれる履行義務を識別し、履行義務ごとに収益を認識することになります。従前は、契約単位ごとに売上を計上していることが多く、履行義務を識別することはソフトウェア等の一部を除いてありませんでした。収益認識会計基準では、財又はサービスが別個のものとなる可能性があること、財又はサービスを顧客に移転する約束が契約の観点において別個のものとなることの要件を満たせば別個の履行義務として扱うことになります。商品等の販売に伴って保守サービスを無償で提供する場合、従前は、製品保証引当金を計上していましたが、収益認識会計基準では保守サービスを履行義務として識別し、商品等の売上と区分して収益を認識することになります。契約に含まれる履行義務を識別して別個の履行義務として収益を認識する方法に変更するのは比較的多く、家電量店の無償保証サービス、ソフトウェアパッケージ販売の保守サービス等、外注製造委託の金型販売など、変更事例は多岐に及びます。
ライセンス
ライセンスから得られる収益については、従来、明確な基準はなく契約内容や経済的実態に応じて、契約期間にわたり収益認識する方法やライセンス取得時点に一括で収益認識するなどの会計処理が行われていました。収益認識会計基準においてはこれらのライセンスを供与する約束が他の財またはサービスの移転の約束と別個の履行義務かどうか、別個の履行義務であるなら当該ライセンスにアクセスする権利(一定の期間にわたり収益を認識)なのかあるいはライセンスを使用する権利(一定時点で収益を認識)なのかを判定し会計処理をすることとなりました。ソフトウェアのライセンスの供与、医薬品メーカーの技術導出契約等の事例で記載されています。
契約の結合
従前は、契約単位ごとに売上を計上していることが一般的でしたが、収益認識会計基準では、同一の顧客(当該顧客の関連当事者を含む。)と同時またはほぼ同時に締結した複数の契約について、一定の要件を満たす場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約とみなして処理することになります。ソフトウェアの開発をいくつかのフェーズを分けて顧客と制作のための契約を締結するようなケースでは、単一の履行義務であると識別されれば契約を結合して会計処理することになります。そのほか、クラウドサービスとクラウド導入サービスを別個の契約としても単一の履行義務と判断される場合は単一の契約として会計処理することになります。契約の結合に関する会計処理の変更事例は、ソフトウェア業界で見られます。




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