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2022年02月08日 [会計・税務]

抱合せ株式消滅差損と簡易合併

親会社がその子会社を吸収合併するには、原則として、株主総会の決議を必要としますが、規模要件により、重要性の乏しい会社であれば簡易合併により、存続会社(親会社)は株主総会の決議を省略することができます。規模要件は、(消滅会社の株主に交付する存続会社の株式数に1株当たりの純資産額を乗じた額+消滅会社の株主に交付する存続会社の株式以外の財産の帳簿価格の合計額)の合計額が存続会社の純資産額の5分の1を超えない場合となります。ただし、@合併差損が生じる場合又はA存続会社が公開会社でなく消滅会社の株主に存続会社の譲渡制限株式が交付される場合には、簡易合併によることはできず、存続会社で株主総会の承認決議を要することになります。
無対価の親会社による小規模の子会社吸収合併は、親会社にとって簡易合併となりますが、親会社の子会社株式の帳簿価額よりも子会社の簿価純資産の金額が少ない場合には、抱合せ株式消滅差損(合併差損)が発生し、簡易合併ができないことになります。これは、抱合せ株式消滅差損(合併差損)の発生により存続会社の分配可能額が減少する結果となるため、存続会社に比して消滅会社の規模が十分小さい場合でも存続会社の株主に対する影響は軽微とは言えないことから、簡易合併の例外措置としています。上場会社では、機動的に合併処理を実施たくても、株主総会決議を必要とするとなれば、定時株主総会を待たねばなりませんが、合併の効力発生日よりも前の決算期において、子会社株式の時価評価と抱合せ株式消滅損益の試算を行い、必要に応じて適正な会計処理に基づき子会社株式の減損処理をするなどを事前処理したうえで、「差損の発生を回避することによって簡易合併を行うことができる」ことになります。ただし、簡易合併の要件は,吸収合併の効力発生日の直前の時点において満たしている必要があり,決算日以降合併効力発生日までに子会社で発生した損失により抱合せ株式消滅差損が生じる可能性がある場合は原則通り株主総会の決議を取っておくことが望まれます。


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