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2018年11月18日 [会計・税務]

収益認識ー返品条件付き販売

出版物の再販売価格維持制度のもとでは、返品条件付き販売が行われ、また、百貨店の委託販売など一定期間経過後に返品可能な販売が行われている。さらに一般消費者向け訪問販売及び通信販売等では、法律上クーリングオフが適用される場合がある。
従前は、出版業界では、返品損失見込み額を返品調整引当金として計上していたが、新たに導入された収益認識会計基準のもとでは変動対価として返品見込み額を契約負債に同原価相当を返品資産に計上する方法に変更することになった。
返品条件付き販売においては、@企業が権利を得ると見込む対価(対価のうち返品が見込まれる商品または製品の対価を除く)で収益を計上する。A返品が見込まれる商品及び製品について受け取ったまたは受け取る対価の額で返金負債を認識する。B返金負債の決済時に顧客から商品または製品を回収する権利について資産を認識する。
 商品または製品の販売後、各決算日に企業が権利を得ると見込む対価及び返金負債の額を見直し、認識した収益の額を変更する。結果として、各決算末で、返品見込み額については再度見積もることになる。
 返金負債の決済時に顧客から商品または製品を回収する権利として認識した資産の額は、当該商品または製品の従前の帳簿価額から予想される回収費用を控除するものと考えられ、また、各決算日に当該控除した金額を見直すことが必要と考えられる。

返品条件付き販売の事例
前提条件
X年3月期 
1. 売上総額10,000に対して、「@企業が権利を得ると見込む対価」6,000、は過年度の返品実績を加味して見積もられる返品見
    込み額は4,000を控除したものである。
2. 「A返品が見込まれる商品及び製品について受け取ったまたは受け取る対価の額」4,000である。
3. 返品見込み額4,000の売上原価相当額は2,800である。
X+1年3月期
1. X年3月期に見込んだ返品に関する実績は、返品に対応する対価の額3,000、同返品額(売上原価)2,100である。

X年3月期の会計仕訳(収益計上及び返品資産計上)
(借方)売掛債権 10,000    (貸方)売上高(収益)6,000
                     返品負債   4,000
(借方)売上原価  4,200    (貸方)商品     7,000
     返品資産  2,800
収益認識に際しては、返品見込み額を見込んで計上することになるため、実績との乖離については、実際の返品時に処理することになる。
X+1年3月期の会計仕訳(返品実績の計上)
(借方)返品負債  4,000    (貸方)現金及び預金  3,000
                      売上高(収益) 1,000
(借方)商 品    2,100    (貸方)返品資産    2,800
      売上原価    700



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