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2022年03月09日 [会計・税務]

ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示

「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料〜DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応〜」の公開草案が日本公認会計士協会から2022年2月24日に公表された。ソフトウェアに関するビジネスの環境変化が生じている中で、研究開発費等会計基準や研究開発費等実務指針の設定時に想定されていないソフトウェア及びその周辺の取引に関して多様な実務が生じているが、それに対応した改正は行われてきていない。これを受けて、ソフトウェアやゲームソフトの制作費に係る会計処理及び開示について、これまでの日本公認会計士協会における調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における考え方を研究資料としてまとめている。
我が国の会計基準では、制作目的別の会計処理が定められており、制作目的別に会計処理の結果が異なる。そのため、SaaSのベンダーがサービス提供のために利用するソフトウェアの会計処理を検討するにあたっては、制作目的をいずれとするのかが重要となる。現行の実務では、自社利用のソフトウェアとして計上している会社や収益獲得能力を証明することの困難性等から資産計上しない会社が多くなっているが、取引の類似性から市場販売目的のソフトウェアとして計上している会社も存在する。一方、SaaSのユーザー側の会計処理では、初期設定費用、カスタマイズ費用の資産計上の可否が課題となっている。SaaSにおいて、ソフトウェアそれ自体は引き続きベンダーが保有しているものとして、カスタマイズしたソフトウェアを資産計上することに関して研究開発費等実務指針で購入したソフトウェアの取得原価に含めることとされている初期設定費用等の取扱いはそのまま適用することができない。ユーザー側にはソフトウェアに対する支配を有していないことから、これを自社のソフトウェアとして計上することは難しいと考えられる。したがって、契約当初に一時に支払った初期設定費用やカスタマイズ費用について、支払時に一時の費用として計上することが考えられる。ただし、これらの費用はキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉であると考えれば、長期前払費用に該当する可能性も考えられる。
デジタルゲーム業界においてもゲームのモデルが多様化している。具体的にはゲーム開発費に関する資産計上の開始時期、償却開始時期、償却方法、貸借対照表上の表示科目等に多様性がみられる。また、プログラムと複合的に組み合わされるコンテンツ部分に重要性がある一方で、コンテンツを取り扱う会計基準が明示的に存在していないことから、一層多様な選択肢を可能としている状況である。
研究資料は、実務上の課題とそれを踏まえた提言として、以下を揚げている。「1.市場販売目的ソフトウェアと自社利用ソフトウェアの区分」「2.ソフトウェアに基づく会計処理の相違による問題点」「3.ソフトウェア制作費の資産計上要件」「4.クラウドを通じてソフトウェアを利用するサービスを受ける場合の処理」「5.デジタルゲーム・ソフトウェアの制作費」


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